もの思う
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吉村昭氏の「殉国」を読んだ。
<img src="http://pub.ne.jp/maybe/image/user/1317766245.jpg" width="124" height="180" />

太平洋戦争の末期の沖縄戦線、主人公の比嘉真一は15歳で陸軍の正規の兵士に
編入される。洞窟を転々としながら南に逃れ、遂にアメリカ兵に捕えられるまでが
書かれている。

吉村氏の端正な筆致で、凄惨極まりない戦場の状況が書き続けられている。
途中で何度も読むのをやめようかと思ったほどだ。

負けると分った戦いに、ただ時を稼ぐためだけの戦いに、空に、陸に、海に、
爆弾を抱いた体当たり戦法で多くの若い命が散ったという。


胸の詰まる思いで読み終えた。


一度だけ訪れた沖縄の海はただひたすら美しかった。
今度行くときには、心して沖縄の地を踏みたいと思う。

 

 

久しぶりに穏やかなお天気になった。

フェルトがまぐちを納品したあと、道立文学館の「吉村昭展」に行ってきた。

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吉村氏は北海道にかかわる小説も多く書いており、取材などで100回ほども
来道しているという。
私もまず、北海道に関わる作品から読み始めて、どんどん引き込まれて
いったのだ。
綿密な取材による史実小説は装飾が無い分、ずっしりとくる。

会場には来館者が吉村氏の好きな小説とその理由を書く用紙がおいてあり、
貼られていた感想の中に、「『長英逃亡』自分が長英になったような気分に
なり、追い詰められていく感じがした、疲れた。」と書かれていて、やっぱり
自分と同じ人がいたんだと、可笑しかった。

吉村氏の小説は随分読んだ気になっていたけど、まだ未読の小説も結構
あるので、帰宅してから、さっそくネットで中古本を探し出し注文した。
届くのが楽しみだ。

ちなみに、まだ吉村氏を知らないころ、奥様の津村節子さんの小説もたて
続けに読んでいた時期もあった。

私に吉村氏の小説と出会わせてくれたお友達に感謝。

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中島公園も真っ白



先日テレビで、写真や絵などに直接、刺繍をして作品をつくる清川さんが
紹介されていたので興味がわきネットで注文してしまった。
昨日届いたのだけど、ちょっとイメージと違ったかも。

他のページもこの表紙のように派手にキラキラしているイメージだったのだが
思っていたよりも落ち着いた感じだった。
でも幻想的できれいな絵本です。

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「銀河鉄道の夜」
著)宮沢賢治、清川あさみ
単行本:112ページ
出版社:リトル・モア(209/11/26)

「銀河鉄道の夜」はみゆき様の「夜会Vol.13 24時着0時発」と
「Vol.14 24時着00時発」モチーフになった物語なのでこの綺麗な
絵本を手元におきたかった。

ところでみゆき様のVol.13と14のタイトルは微妙に違うのだけど、どんな
意味を含んでいるのでしょうね^^;


帰省中に暇にまかせてかつての私の部屋に置いてあった佐々木丸美さんの
「雪の断章」を読んだ。
佐々木丸美さんは1975年にこの「雪の断章」でデビューし10年に渡り、ブームにも
なったほどファンを得ていた北海道出身の小説家だ。

当時、私もまだ十代。友人が佐々木さんの大ファンで、私も何冊か読んだ。

北海道が舞台で叙情的ながらミステリーもありで、私は情景描写がとても好きだった。

で、先日読み直してみたところ、そうかこういう内容だったっけ?などと思いつつ読み進み
次第に自分が年をとり過ぎていたことを思い知ることとなる。

ろまんてぃっくというか、ふぁんたすてぃっくすぎるではないか・・・(笑)
そう、なぜか平仮名表現がぴったりな感じで。

実家には私が読んでもいない佐々木さんの小説が何冊か並んでいる。
息子が一時はまり、中古本を集めたらしい。
どう考えても少女向けだと思うけど・・・・いいんだろうか・・(ーー;)

ちなみに佐々木丸美さんは2005年に亡くなり、愛好家の要望によって全著作の復刻が決定、
2006年に「雪の断章」が配本となったとのこと。

正直なところ、さすがに今はもう感動はできないけれど、とても懐かしい気分にさせて貰った。

 

今日のノルマは年賀状作り。
夫の年賀状は宛先の印刷を残すのみ。あとは母の年賀状・・そして自分のは
やっぱりギリギリかも。
どうして毎年、同じことを繰り返してしまうのだろうか^^;
来年こそは余裕をもって準備を・・(笑)

昨日がみゆき様の「夜会」の東京公演の楽日で、無事に終了した様子でなにより。
お疲れ様でしたm(__)m
一月からの大阪公演に向けて、充電なさってくださいませ。

みゆき様といえば・・夫がこの間ラジオを聴いていたら、「元気の出る歌」のリクエスト
でみゆき様の「ファイト!」がかかったら、そのパーソナリティーが、「このファイト!
じゃ元気でませんよね~(笑)」とのたまったそうだ。
ちょっと~、このパーソナリティーさん「ファイト!」の歌詞をちゃんと聴いてないのね。
かくいう私もこの曲を25年くらい前にアルバム「予感」で聴いたときは、あまり感動も
なかったのだが、時が経ったある日、車の中で何気なく聴いていたら泣けた・・(T_T)
去年のライブで歌ってくれたときにも力入っていて、今DVDやCDで聴いても泣ける。
ま、この歌の深さがわからない人に、無理にわかって貰おうとは思わないので別に
いいんですけどね(ーー;)

今日、ほぼ日ストアから「ほぼ日手帳2009」と糸井重里さんの「思い出したら思い出
になった」
が届いた。

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今年のほぼ日手帳は空白が目立ったので、2009年は気持ちを新たにと・・^^;
そして「思い出したら思い出になった」は、なんとみゆき様の今回の「夜会」の
パンフレットに糸井さんのこの本の中の言葉が載せられていたのだ。
装丁がとてもおしゃれで糸井さんのこだわりが詰まっていそう。

 

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「蟹工船・党生活者」
著:小林多喜二
新潮社



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「母」
著:三浦綾子
角川書店


三浦綾子氏の「母」は小林多喜二の母親が題材である。
そのセキの波乱の一生を、自身の語り口調で描かれている。

貧しい村に生まれながらも多喜二らの子供に囲まれ、家族を愛しながら健気に
生きるのだが、多喜二が警察に捕まり拷問死されるあたりでは胸が詰まる。

何故、多喜二が小説を書いただけで殺されなければならないのか、という
母親としての耐え難い悲しみが、方言まじりの語りで表されていて、三浦綾子氏の
巧みさを感じた。

この小説を電車の中などでも読んでいたのだが、時々、涙がこぼれそうになり
こらえるのに大変だった。
実は10年以上も前に一度読んでいるのだが、そのときよりも今回の方が深く
受け止められるものがあるのは自分の年齢のせいか。

 

今週は「夜会」の高揚感が続いていたので、精神的には元気なつもりで
いたが、木曜日あたりにはさすがに疲労を隠せず、栄養ドリンク飲みつつ
ようやく週末。
昨日は首筋から一枚板でも入れられたように、背中が凝ってしまった。
めずらしく夫も心配するくらいカチンコチンに凝ってたようで、いつもより
長くマッサージしてくれた。極楽極楽・・・(^.^)

背中も大分楽になったので今日は真面目に掃除などして家からほとんど
出ずに過ごした。

年賀状の準備やら、あれこれとしなければならないことはあったのに、
夫が出かけたのをいいことに先日の「夜会」の会場で購入してきた前回の
「夜会Vol.14」のDVDを観た。
Vol.14の「24時着0時発」は銀河鉄道のお話がベースになっていて、ラストに
みゆき様が歌うステージの星空がきれいなこと(^.^)

また行きたいなぁ・・。(帰ってきたばかりだけど)

そうそう今日は夜会の話ではなく、同僚のKちゃんから長いことお借りしている
天文作家・林完次さんのフォトエッセイ「天の羊」のこと。

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繰り返し見てるのだけど、見る度に月と星空の写真の美しさにため息が出る。
どうしたらこんなきれいな星空が撮れるものなのか・・・(ーー;)
そしていろいろな表情を見せる神秘的な月。
ギリシャ神話などのエピソードを盛り込んだエッセイも素敵だ。

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←現在は違うサイズで発売されてるみたいです。








「天の羊」月と星のフォトエッセイ(単行本)
著:林完次
中央公論新社 (2004/11)

何かと気忙しい12月でも、たまには温かいココアなど飲みながらこんな素敵な
写真集を開いて過ごしたいです(^^)

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これは自前の画像です^^;

森鴎外の小説「山椒太夫」を読んだ。

子供のころに物語で読んだ「安寿と厨子王」は悲しいお話だったような記憶
しかない。
この物語が「山椒大夫」がもととなっているということ自体、つい最近まで
忘れていた。

そして、森鴎外の「山椒大夫」は江戸時代に流行した「説教」のひとつで、
寛永16年(1639)に刊行された「五説教」の中の「さんせう太夫」を原点として
書かれていることは今回初めて知った。

物語などでは、厨子王を逃がした安寿は拷問によって殺されてしまい、後の
厨子王は山椒大夫とその息子の1人を残虐な方法で処刑したとのこと。

森鴎外の「山椒大夫」は、安寿と厨子王は母と乳母らと父平正氏を尋ねて
旅に出るが、途中、人買いに騙されてしまう。
母と乳母は佐渡へ、安寿と厨子王は丹後の国の山椒太夫へと売られてゆき、
安寿は海で潮を汲み、厨子王は山で柴を刈り、奴婢として苦しい毎日を過ごすが
安寿は厨子王を逃がし、自らは入水してしまう。

その後、厨子王は国守となり母と再会するという内容だ。
しかも、人買いを廃止した後、山椒大夫は奴婢たちを解放し給料を支払うように
なり、一族はいっそう富を成した。と、なっている。

森鴎外は何故、残虐な場面を避けたのだろう?
逃亡を企てたことで焼きごてをあてられたのさえ夢の話にしている。

残酷な場面は少ないほうが、読む方にしてみればありがたいが、悪党の山椒大夫が
後にいっそう富を成した、という終わり方も時代なのか?
小説の題名が何故「山椒大夫」で、主役扱いなのかと疑問である。


日本に限らず、昔話しには残酷なものが多い。
ただ、どこかに救いがあるから子供に語り継がれると思っている。

以前、エドワード・ゴーリーの「不幸な子供」という絵本を目にした。
裕福な家庭に生まれた女の子に次々と不幸が起こり、結局、ぼろぼろのまま
死んでしまう、どこにも救いようのない話で、絵自体も滅入ってしまうようなおぞましい
モノクロのペン画である。
悲しかったり、多少残酷な絵本は目にしたことがあるが、これほど暗く直截的な絵本は
初めて見たので唖然としたものだ。

エドワード・ゴーリーのファンは多いと聞くし、この絵本で、様々な角度からものごとを
見据え考えることができる・・ということもあるだろう。

でも私は絵本については、内容が悲しいなら、せめて開いたときの挿絵がきれい
だとか色が素敵だとかでもいいから心が動かされるものが欲しい。
絵本はそうであってほしいという希望でもある。

何より現実のこの世界が一番残酷なのだから。

*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*

そうそう、何故、今「山椒大夫」なのかといえば・・
みゆき様の今年の「夜会」は「安寿と厨子王」が題材になっているらしいので^^;

安寿と厨子王は山椒大夫に垣草(しのぶぐさ)、萱草(わすれぐさ)と名前を
つけられたのだが、その名前が出てくる・・らしい(多分^^;)

「夜会」はけして不幸なままでは終わらないはず(^^)

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ふわふわの雲

俳優の緒方拳さんが亡くなってから、追悼番組が続いている。
先日は「魚影の群れ」を観て、今日は録画していた「破獄」を観た。

どちらも私が読み続けている吉村昭氏の小説が原作である。
「魚影の群れ」(1983年)は、緒方さんの他に夏目雅子さん佐藤浩市さんが
出ているので以前に数回観ていた。

青森の大間でのマグロの一本釣りに命を賭ける漁師の人生ドラマだが
マグロを釣り上げる格闘場面は大変な撮影だったろうと想像できるほど
リアルだ。

ただ、緒方さん演じる父親役や娘婿の佐藤さんの方言に比べ、夏目雅子
さんの方言のアクセントが大げさ過ぎて耳についたのが残念。

吉村氏の原作の「破獄」は、昭和11年から23年までの間に、犯罪史上
未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎と刑務官の闘いを
時代背景とともに詳細に描きだされている。

1985年のNHKドラマで、この佐久間を緒方さんが演じているのを今回
初めて知り、興味深く観た。
佐久間を追いつつ奇妙な情を持つ刑務官を演じるのが津川雅彦さん。

緒方さんの気迫に満ちた演技は鳥肌ものだ。
原作を読んでいるので二時間に満たないドラマでは内容の充実感は無いが、
お二人の存在感でカバーできていたように思える。

*******************************

吉村氏の作品つながりで・・。

昨日、ようやく「生麦事件」(上・下巻)を読み終えた。
それほど長い小説でもないのに、時間がかかったのは吉村氏の2年間の緻密な
資料調査により描きだされた内容を読みこなす力が私に足りない為と思われる^^;

事件の発端の1862年から1868年までのわずか6年の間に江戸時代から明治
へと日本は一変する。
その激動の時代、生麦事件から薩英戦争が起こり、それに続く外国連合軍と
長州藩の戦争、蛤御門の変、鳥羽伏見の戦争など、それぞれの背景や被害の
状況の仔細さなどが記述されているので、なかなか読み流すことができない。

吉村氏ご本人があとがきに「筆をおいた時には甚だしい疲労おぼえた」と記すほど
大変な作業だったようだ。

多分、この作品も再度読み返すことになるだろう。


 

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著:平松洋子
出版社:新潮社 (単行本)
大切なことは、いつも台所でかんがえる。
昭和のあのころ、母がつくってくれたご馳走。ごはん炊き修業。だしの頼もしさ。
塩かげんの極意。アジアの家庭で出会った味。ひとりぼっちの食卓。春の昼酒。
 ――嬉しいこともせつないこともみんな、食べることと結びついている。
ささやかでいとしい幸福の瞬間を鮮やかに描き出す、台所をめぐる十七のエッセイ。 
*****************以上、出版社の商品説明より***********

お借りして読んだ。

私は俗にいう食道楽でもないし、けしてお料理好きではないけれど、この本のおかげで
食については「目からウロコ」かもしれない。

生きていく上で食は基本だと思う。
だからといって著者の平松さんは、けしておしつけがましくなく、小気味いいテンポの
語り口はむしろ楽しく、ときにはしんみりと食にかかわる事柄を伝えてれる。
読後はじんわりと温かい気持ちになった。

多分、この先ずっと寝たきりにでもならない限りは台所から離れることはないだろう。
ならば義務感だけではなく、楽しく台所に立ちたいものだ。
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