もの思う
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森鴎外の小説「山椒太夫」を読んだ。

子供のころに物語で読んだ「安寿と厨子王」は悲しいお話だったような記憶
しかない。
この物語が「山椒大夫」がもととなっているということ自体、つい最近まで
忘れていた。

そして、森鴎外の「山椒大夫」は江戸時代に流行した「説教」のひとつで、
寛永16年(1639)に刊行された「五説教」の中の「さんせう太夫」を原点として
書かれていることは今回初めて知った。

物語などでは、厨子王を逃がした安寿は拷問によって殺されてしまい、後の
厨子王は山椒大夫とその息子の1人を残虐な方法で処刑したとのこと。

森鴎外の「山椒大夫」は、安寿と厨子王は母と乳母らと父平正氏を尋ねて
旅に出るが、途中、人買いに騙されてしまう。
母と乳母は佐渡へ、安寿と厨子王は丹後の国の山椒太夫へと売られてゆき、
安寿は海で潮を汲み、厨子王は山で柴を刈り、奴婢として苦しい毎日を過ごすが
安寿は厨子王を逃がし、自らは入水してしまう。

その後、厨子王は国守となり母と再会するという内容だ。
しかも、人買いを廃止した後、山椒大夫は奴婢たちを解放し給料を支払うように
なり、一族はいっそう富を成した。と、なっている。

森鴎外は何故、残虐な場面を避けたのだろう?
逃亡を企てたことで焼きごてをあてられたのさえ夢の話にしている。

残酷な場面は少ないほうが、読む方にしてみればありがたいが、悪党の山椒大夫が
後にいっそう富を成した、という終わり方も時代なのか?
小説の題名が何故「山椒大夫」で、主役扱いなのかと疑問である。


日本に限らず、昔話しには残酷なものが多い。
ただ、どこかに救いがあるから子供に語り継がれると思っている。

以前、エドワード・ゴーリーの「不幸な子供」という絵本を目にした。
裕福な家庭に生まれた女の子に次々と不幸が起こり、結局、ぼろぼろのまま
死んでしまう、どこにも救いようのない話で、絵自体も滅入ってしまうようなおぞましい
モノクロのペン画である。
悲しかったり、多少残酷な絵本は目にしたことがあるが、これほど暗く直截的な絵本は
初めて見たので唖然としたものだ。

エドワード・ゴーリーのファンは多いと聞くし、この絵本で、様々な角度からものごとを
見据え考えることができる・・ということもあるだろう。

でも私は絵本については、内容が悲しいなら、せめて開いたときの挿絵がきれい
だとか色が素敵だとかでもいいから心が動かされるものが欲しい。
絵本はそうであってほしいという希望でもある。

何より現実のこの世界が一番残酷なのだから。

*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*・・・*

そうそう、何故、今「山椒大夫」なのかといえば・・
みゆき様の今年の「夜会」は「安寿と厨子王」が題材になっているらしいので^^;

安寿と厨子王は山椒大夫に垣草(しのぶぐさ)、萱草(わすれぐさ)と名前を
つけられたのだが、その名前が出てくる・・らしい(多分^^;)

「夜会」はけして不幸なままでは終わらないはず(^^)

P1010879.jpg
















ふわふわの雲

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